#15 自動販売機のUIデザイン
日本は自動販売機(以下「自販機」)大国で、
人口あたりの設置台数は世界一なんだそうです。
そんな日本の自販機のデザインについて考えます。
まず自販機全体の構造について見てみましょう。
おそらく最もポピュラーな形の一つがこちらですね。
成人の目線〜腰くらいの高さに商品ディスプレイがあり、
各商品のすぐ下に選択ボタンがあります。
売り切れの場合は、このボタンが「売切」「準備中」など、
購入できないことを示す文字が点灯することが多いです。
その下に支払い箇所、膝くらいの高さに商品の受け取り口、
さらにその下右側にお釣りの返却口があります。
◆使いやすさ
①選択ボタン
各商品ディスプレイのすぐ下に選択ボタンがあるので、直感的に操作しやすくなっています。
会社などに設置されている、自分で番号を入力して購入するものよりは
こちらの方がかなりわかりやすいと感じます。
これのわかりやすいポイントは、ボタンに値段が書いてあることですね。
最小限のスペースで、人間の注意を引きながら必要な情報が表示されています。
また、ボタンを押すとそのボタンが青色などに点灯し、
自分が選んだ商品がすぐにわかるようになっているのもわかりやすいです。
②支払い口
また、支払い口は、人がカバンから財布を取り出して最短経路で支払えるよう
腰の高さに近く、右利きの人が多いことに合わせて右側に配置されています。
支払い口が目線の高さにあったら、お金を落としてしまうことが増えそうですが
そこのストレスがないように設計されています。
現金支払いの場合、返却レバーは硬貨投入口のすぐ横に配置されているので
返却レバーを探すという手間もありません。
③商品の配置
この自販機の場合、ざっくりと
左側:コーヒー、お茶など苦味のある飲み物
右側:ジュースなど甘味の強い飲み物
上側:500ml程度の飲み物
下側:200〜300ml程度の飲み物
というように、商品が分類されて整列・配置されています。
飲み物の種類がまとまっているので、最小限の目線の動きで
自分がほしい商品を選ぶことができます。
ちなみに3段目はDyDoのロゴがあり、DyDoの商品がまとまっていることもわかります。
◆使いにくさ
①支払い方法によって操作手順が違う!
自販機で最初にぶち当たる壁はこれが多いのではないでしょうか?
現金で購入する場合は、 ①お金を投入→②商品を選択 の順で操作しますが、
電子マネーの場合は、 ①商品を選択→②支払い の順で操作します。
この自販機も簡単な表示があるので読めばわかりますが、
初めて電子マネーで購入したときは使い方がよくわからず
駅のホームで一人焦った記憶があります。
これは数年前の奈良での記憶なので、今はもしかしたら操作手順が統一されているものが多いかもしれません。
②高い場所のボタンが届かない!
私は身長が十分あるのでこの問題に直面したことはないですが、
背の低い方や子どもは一番上のボタンが届かないこともあるのではないかと思います。
とはいえ、多くの人が問題なく全てのボタンを押下できるような高さにとどまってはいるので、これについては
最大多数の最大幸福(ベンサム)だな〜と思います。
社会はそういうふうにできていると思わされますね。
③海外の人はわかるのか?
自販機は情報が最小限にまとまっているので、英語表示などは見当たらないですよね。
(あってもHOT/COLDくらい。
余談ですが、このクソ真面目な日本において「あたたかい」「つめたい」ではなく、
「あったか〜い」「つめた〜い」という表記を普及させた人には大きな拍手を送りたいです。)
日本人の私でも、支払い方法によって操作手順が異なることに迷ったのに
これを海外の人が理解できるのでしょうか?
この自販機は上野公園内に設置されている物なので、海外の利用客も多いと思われます。
英語表記もあると優しいなと思います。
◆Webサイトの購入手順との比較
自販機はおそらくこの社会の「購入」という動作において
操作が最も簡略化されたものだと思います。
全ての操作を同じ画面で、 ①選択→②支払い→③完了 という最小回数で
商品を購入することができます。
Webサイトで買い物をする際は、
①欲しいものを検索→②一覧から選択→③支払い※カード情報・お届け日時などを入力→④完了 という手順を踏む必要があります。
ECサイトは購買のハードルを下げるために、この手順を簡略化することが有効といえます。
例えば、Amazonは商品一覧の画面でそのまま商品をカートに追加することができます。
もしくは、商品の詳細画面に移ると「今すぐ買う」ボタンがあり、
支払い情報の登録が済んでいればその手間なしで購入することができます。
この簡単さ・ハードルの低さから、Amazonは一大勢力になっていると言っても過言ではありません。
金銭の授受を伴う全ての取引が目指すべきは自販機かもしれません。
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